境界性人格障害の特徴
境界性人格障害の人口比は約2%ともいわれており、単純計算でも日本だけで約250万人が境界例の問題を抱えていることになります。別名でボーダーライン(ボーダー)と呼ばれることもあります。
近年、非常に増えている人格障害です。
ここでいう「境界」とは何でしょうか? これは「神経症と分裂病との境界」です。
精神分裂病と呼べるほどには症状が足りず、とはいえ神経症でもない状態であるため、その境界なのです。
具体的には、非常に衝動的で、感情の起伏が激しく、対人関係が常に不安定な人格的障害が出てきます。
感情をコントロールする力が弱いため、ときに暴力的であったり、自殺を図ったりします。
境界例の特徴としては下記のようなものがあります。
中でも最大の特徴を個人的にあげると
「見た目よりかなり若く見える」「リストカット」「SEX巧者」「メールの回数がやたら多い」の4つです
そして行動特性として、欲求を抑えられないことが挙げられます。
以下が見られる場合には要注意です
・ 自分の生き方がわからない。
・ 現実を理解する能力が貧弱。
・ いつも場違いな所にいるように感じる。
・ 自分のすべてを受け入れてもらいたいと望んでいる。
・ 感情の移り変わりが早く人間関係が不安定。
・ 愛し方が不十分であるという理由で相手を責めたてる。
・ 仕事に不満を持ちやすく転職を繰り返す。
・ 他人への評価が極端から極端へと揺れ動く。
・ 人生の価値観や目標が突然変わったりする。
・ キレやすい。
・ 2者関係にしがみつく。
・ 自殺未遂を繰り返す。
原因とそのメカニズム
原因は様々ですが、子離れできない母親、父親などに育てられた場合があります。
たとえば、子離れできない母親は、子供に対し自分との甘美な関係をいつまでも継続したい気持ちが無意識にあり、子供が自立できることを無意識に阻止するのです。
子どもからすれば、母親は自分が生きてゆくための唯一のよりどころであるため、母親を頼り、母親の欲する像を体現しようとします。
このことが自分とは何か?という疑問につながり、自分で自分がわからないような喪失感へと増大してゆきます。
このようなメカニズムによって、親からの精神的な分離ができなくなり、自分が何者なのか分からないような混沌とした自己イメージを作り上げてゆきます。
このメカニズムが抱えている様々な問題点は、子どもが成長して青年期に達したときに一気に表面化すします、何故なら青年期には嫌でも親からの分離を求められるからです。
「思春期の性の目覚め」「社会人としての生活」「恋愛と結婚」あらゆる面で自立しなければならないのですが、長年にわたって親から刷り込まれた歪んだメカニズムから抜け出すことができずに苦しむことになります。
このように、境界例は原因が乳幼児期にあるのに、青年期になってから問題が表面化するため「青年期境界例」と呼ばれることもあります。
表出化されるおもな症状
・自暴自棄型
万引きなどの犯罪行為に走ったり、命を危険にさらすような暴走行為をしたり、自殺未遂を繰り返したりします。
・依存強化型
自分がないので他人を世話したり、頼ったりして生きてゆこうとします。
共依存症などにも似ていますが少々異なります。
・自己愛型
見捨てられる惨めさを回避するために、惨めな自分とは正反対の自分を演じたり、または自己憐憫して同情を引こうとします。
・攻撃型
突如激しい怒りとなって周囲に当り散らします、家庭内暴力、DV、ストーカーなど。
・快楽型
ギャンブル依存症、アルコール依存症、薬物依存等。
・引きこもり型
対人関係を遮断し自らの内に引きこもる行為です。
こうすることで、余計な気遣いや心配から解放されます、つまり外に出てしまうとその他大勢になりますので、周囲を切り取り自分だけの世界に入るのです。
最近はネットゲーム依存などにも影響しています。
医学的な診断基準
境界性人格障害の診断基準
アメリカ精神医学会におけるDSM-IVより
対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人早期に始まり、種々の状況で明らかになる。
以下のうち、五つ(またはそれ以上)で示される。
・理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式。
・同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感。
・自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも二つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)。
・自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰返し。
・顕著な気分反応性による感情不安定性。
・慢性的な空虚感
・不適切で激しい怒り、または怒りの制御困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのケンカを繰り返す)。
・一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状